蔡夫人
別名 蔡氏

蔡夫人は劉表(りゅう ひょう)の妻。史書では韓嵩(かんすう)殺害を諫め、演義では劉琮(りゅうそう)を擁立し曹操(そうそう)に降る。
登場
演義 4 回 · 正史 2 巻
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史書の記録
『三国志(さんごくし)』によると、蔡夫人は劉表(りゅう ひょう)の妻だった。劉表が韓嵩(かんすう)を殺そうとした際、彼女は進み出て諫め、韓嵩は「楚国の望み」であり、言葉は正直で、殺すのは道理に合わないと述べた。そのため劉表は韓嵩を殺さず、投獄した。この出来事からは、彼女が劉表の側で政務について意見を述べていたことがうかがえ、家庭内の事柄だけに登場する人物ではなかったことも示されている。
劉表と妻は末子の劉琮(りゅうそう)を寵愛し、劉琮を後継者に立てようとした。蔡瑁(さいぼう)と張允(ちょういん)は劉琮を支持する勢力となり、劉表は長子の劉琦(りゅうき)を江夏(こうか)太守に任じ、周囲の者たちは劉琮を後継者に立てた。裴注(はいちゅう)が引用する『典論』には、劉琦が病中に襄陽(じょうよう)へ戻って父を見舞おうとしたとき、蔡瑁と張允は父子が会えば劉表が考えを変えることを恐れ、職務と孝道を理由に劉琦を引き止め、門に入れなかったとも記されている。別の記録には、劉表は「後妻の言を受け、少子の琮を愛し、琦を悦ばず」とある。後妻の意見が、劉表の劉琮への偏愛と劉琦への冷遇に関係していたことを示しているが、蔡夫人が具体的に何を言ったのかは詳述されておらず、劉琦を引き止めたことが彼女に直接帰されてもいない。
演義での描写
『三国志演義』は、蔡夫人を深謀で疑い深く、荊州(けいしゅう)の権力継承に積極的に介入する人物として描いている。彼女は劉表の後妻で劉琮の母、また蔡瑁の姉妹である。小説では、蔡瑁の劉備(りゅうび)への疑念を信じ、夜に劉表へ劉備を警戒するよう勧める。また、屏風の陰に隠れて劉備と劉表の会話を盗み聞きすることもあった。劉備が劉表に長子を廃して末子を立てるべきではないと進言すると、彼女はそれを聞いて恨みを抱き、劉備が荊州を併呑しようとしていると考え、蔡瑁を密かに呼び寄せて劉備を排除する策を相談した。
劉備暗殺の筋書きは、小説の中で次々と展開する。蔡瑁は宿舎への夜襲を手配するが、劉備は伊籍(いせき)の知らせによって逃れる。その後、襄陽での宴会も劉備を害する機会となる。蔡瑁が劉備を害する計略を立てたことを知った劉表は、蔡瑁を斬るよう命じるが、蔡夫人は泣いて命乞いをする。こうした具体的な暗殺や救出の筋書きは演義による創作であり、史書には記されていない。
劉表が重病になると、小説はさらに、蔡夫人の選択を荊州の継承権争いの鍵として描く。劉表が劉備に劉琦の後見を託そうとしていると聞き、彼女は激怒し、蔡瑁、張允とともに劉琦が面会するのを阻止した。劉表の死後、彼女は蔡瑁、張允と遺命を偽造し、劉琮を荊州の主に立てた。さらに劉琮とともに襄陽へ赴き、劉琦と劉備に訃報を伝えず、二人に備えた。曹操(そうそう)が南下すると、彼女は屏風の陰から姿を現し、諸臣が荊州を差し出して曹操に降るという案を劉琮に受け入れさせた。その後、劉琮とともに印綬と兵符を手に曹操を迎えた。小説の最後では、劉琮とともに青州(せいしゅう)へ向かう途中、于禁(うきん)の部隊に追撃され、劉琮を抱いて泣き、二人とも殺されたと描かれる。遺命の偽造、降伏、殺害に至る経緯はいずれも演義の筋書きであり、史書の記録と混同してはならない。
主要な関係
劉表:史書における蔡夫人は劉表の妻であり、劉表が韓嵩を殺そうとした際に諫めたことが記されている。劉表が劉琮を寵愛し、劉琦を遠ざけたことについて、史書には「後妻の言を受け」ともあるが、彼女がどのように劉表へ影響を与えたのかは具体的に記されていない。
劉琮と劉琦:史書には、劉表夫妻が劉琮を後継者に立てようとし、蔡瑁と張允が劉琮を支持し、劉琦が江夏太守に任じられたと記されている。演義ではさらに、蔡夫人が自ら長子を廃して末子を立てる策を練り、遺命を偽造して劉琮を立てたと描かれる。(遺命の偽造とその具体的な実行は演義独自の描写)
蔡瑁:いずれの資料でも、蔡瑁は劉琮側の権力構造に位置づけられている。演義は特に、蔡夫人と蔡瑁が姉弟であり、共謀して劉備を害し、後継者の決定を操ったと明記している。(姉弟関係と劉備を害する共謀は演義独自の描写)
劉備:小説中の蔡夫人は劉備を脅威とみなし、幾度も彼を排除、あるいは警戒するよう働きかける。史書には、彼女と劉備の対立は記されていない。
代表的な場面
率直な進言で韓嵩を救う:劉表が激怒して韓嵩を斬ろうとしたとき、蔡夫人は、韓嵩は楚国の名望家であり、その言葉は正直なのだから、理由もなく処刑すべきではないと指摘する。劉表は最終的に、韓嵩を投獄するにとどめた。史書において、蔡夫人自身の言動が最も明確に示されている場面である。
屏風の陰からの盗み聞きと劉備暗殺の密談(演義独自の描写):劉備が劉表に長子を廃して末子を立てるべきではないと進言すると、蔡夫人は屏風の陰でそれを聞き、恨みを抱く。そして、劉備は荊州を併呑しようとしていると言い、蔡瑁を密かに呼び寄せて襲撃を企てる。この場面では、彼女の警戒心、権謀術数、劉備への敵意がひとつに描かれている。史書にこの筋書きはない。
劉琮の擁立と曹操への降伏(演義独自の描写):劉表の死後、蔡夫人は蔡瑁、張允と遺命を偽造し、劉琮を擁立する。曹操が南下すると、今度は劉琮に降伏を決断させ、自ら印綬と兵符を携えて曹操を迎える。小説は彼女を、荊州の主が入れ替わる過程で積極的に決断を下す人物として描いている。史書には劉琮の即位と曹操への降伏は記されているが、蔡夫人が実行したとされるこれらの具体的な行動は記されていない。
名言
全 3 件の台詞 · 厳選 2 件
「我聞荊州人多與劉備往來,不可不防之。今容其居住城中,無益,不若遣使他往。」
「適間我於屏後聽得劉備之言,甚輕覷人,足見其有吞併荊州之意。今若不除,必為後患。」
戦績
戦場の記録
原文に記された一騎討ち・討ち取り・処刑を、史書と演義に分けて数えます。
- 演第41回処刑于禁(うきん)敗「軍士殺死劉琮及蔡夫人」
計略
その人物が立てた計略と見破った計略(原文に基づく)。
- 演
- 実行1 · 成功1 · 不採用0 · 看破0
- 演遺嘱の偽造詐術成功対劉琦、玄徳第40回「蔡夫人與蔡瑁、張允商議,假寫遺囑,令次子劉琮為荊州之主」

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配偶者