言語
苟

蜀漢(しょくかん) · 都尉

苟安

登場回
2
台詞の記録
1
人間関係
1
内面の独白
1

史載(Historical Record)

苟安なる人物については、現存する史伝資料に明確な記載はない。《三国志(さんごくし)》などの正史は、蜀漢(しょくかん)、曹魏(そうぎ)などの政権の重大な事件や重要な人物を記録するにあたって、苟安という名の個人及びその関連する事績に言及していない。したがって、歴史記載の観点から見れば、苟安は実在の人物ではない、あるいは少なくとも史官によって記録されなかった歴史人物である。

演中(In the Novel)

羅貫中《三国演義》の文学叙述において、苟安は李厳(りげん)配下の一都尉として、その姿は個人的な私欲のために蜀漢を裏切り、曹魏へ身を投じた小人として造形されている。彼が初めて登場するのは諸葛亮(しょかつりょう)の北伐の期間であり、李厳の命を受けて糧草を祁山(きざん)の大営へ押送する場面である。しかし、苟安は生来酒を好み、押送の途中で十日もの遅延を生じ、軍法に厳しく違反した。諸葛亮はこれに大いに激怒し、彼を斬ろうとした。長史・楊儀(ようぎ)の勧めにより、苟安が李厳の腹心であること、また蜀軍の糧草の多くが西川から出ていることを考慮し、後続の糧草供給への影響を避けるために、諸葛亮は最終的にその死罪を免じ、杖罰八十に改めた。

苟安はこの件で諸葛亮に恨みを抱き、その晩のうちに従者を連れて魏営へ身を投じ、司馬懿(しばい)にこのことを告発した。司馬懿は諸葛亮が多謀であることをよく知っており、苟安の言葉に疑いを抱いたが、なお彼が不満を抱いているという特徴を利用して、苟安を成都(せいと)に戻らせて流言を散布させ、諸葛亮に「上を怨む意があり、早晩帝を称しようとしている」という濡れ衣を着せさせた。この計略は蜀漢の君臣関係を離間し、後主・劉禅(りゅう ぜん)に諸葛亮を召還させ、それによって蜀軍の軍事行動を弱めることを狙ったものである。苟安は喜んで命を受け、成都に戻って流言を散布し、果たして後主・劉禅は讒言を信じ込み、詔を下して祁山の前線にいた諸葛亮を召還した。

諸葛亮は成都に戻った後、後主が突然自分を召還したことに合点がいかず、その中に必ず奸臣の仕業があると鋭く察知した。後主との対話において、諸葛亮は宦官が流言を信じ込んだために後主が彼を召還したことを知った。諸葛亮が流言の出所を追究したとき、ようやくそれがまさに苟安の仕業であったことが分かった。しかしこの時、苟安はすでに再び魏国へ逃亡していた。諸葛亮はその後、妄りに奏上した宦官たちを誅殺し、その他の宦官を宮外へ追放するとともに、蔣琬(しょうえん)、費禕(ひい)らが奸邪を速やかに察知し、天子を諫めることができなかったことを厳しく責めた。苟安の演義における登場は、出番こそ多くないものの、諸葛亮の北伐に実際の妨げをもたらし、内部矛盾が軍事行動に及ぼす負の影響を際立たせ、また諸葛亮の智謀に優れ、奸邪を洞察する姿をいっそう造形している。

重要な関係

* 李厳(serves):苟安は演義において李厳配下の都尉であり、命を受けて糧草を押送しており、彼と李厳の間に上下級の関係が存在することを示している(演義固有)。
* 蜀漢(serves, then defected_from):苟安は当初は蜀漢の官員であったが、個人的な恨みと利益の考量のために、最終的に蜀漢を裏切った(演義固有)。
* 曹魏(defected_to):苟安は諸葛亮に杖罰を受けた後、恨みを抱いて曹魏へ身を投じ、司馬懿に用いられた(演義固有)。
* 諸葛亮(antagonist):苟安は軍法を犯して諸葛亮に杖罰を受け、恨みを抱き、後に司馬懿に利用されて流言を散布し、諸葛亮の北伐を妨げた,(演義固有)。
* 司馬懿(manipulator):司馬懿は苟安の諸葛亮への恨みを利用して、彼に流言を散布させ、蜀漢の君臣を離間し、それによって戦略的な目的を達成した(演義固有)。

象徴的な場面

* 糧草の押送が期日に遅れて罰を受ける:苟安は李厳の命を受けて糧草を押送したが、酒を好んだために十日遅延し、諸葛亮の命によって杖罰八十を受け、彼が蜀漢を裏切る直接の導火線となった(演義固有)。
* 曹魏へ身を投じ離間の計を献ずる:苟安は杖罰を受けた後、夜を徹して魏営へ身を投じ、司馬懿に前事を告発した。司馬懿は彼が恨みを抱いているのを利用して、彼を成都に戻らせ、諸葛亮の「上を怨む意があり、早晩帝を称しようとしている」という流言を散布させた(演義固有)。
* 流言が見事に北伐を妨げる:苟安が散布した流言は後主・劉禅を見事に惑わし、諸葛亮が北伐の鍵となる時機に成都へ召還されることにつながり、蜀漢の軍事行動を頓挫させた(演義固有)。
* 身分が露見し再び逃亡する:諸葛亮は成都に戻った後、苟安が流言を散布したことを突き止め、彼を逮捕しようとしたが、苟安はすでに再び魏国へ逃亡しており、懲罰を受ける運命を免れた(演義固有)。

人間関係

1 件の関係

台詞

  • 演 ch.100 §18→ 司馬懿(しばい)

    「汝可回成都布散流言,說孔明有怨上之意,早晚欲稱為帝,使汝主詔回孔明,便是汝之功。」

登場回2 回 ▸
  • 演ch.100ch.101
関係の年表1 条 ▸

演 ch.100

内面の独白 · AI 生成1 段 ▸
  • 私は苟安、ただ命を受けて兵糧を運ぶ一介の者にすぎず、こともあろうに酒でしくじった。兵糧は軍中の大事である以上、私が輸送を十日も遅らせたのだから、諸葛亮(しょかつりょう)丞相が怒り、私を斬れと命じたのも、まったく道理がないわけではない。長史の