言語
馬

曹魏(そうぎ) · 乡导官

馬邈(ばばく)

登場回
1
台詞の記録
3
人間関係
0
内面の独白
1

史書の記録(Historical Record)

馬邈(ばばく)なる人物については、『三国志(さんごくし)』などの正史には明確な記載がない。その生涯・官職・事跡は、いずれも史書に明記されておらず、ゆえに史伝の材料に基づいて客観的に叙述することはできない。

演義の記述(In the Novel)

羅貫中の歴史小説『三国演義』においては、馬邈は蜀漢(しょくかん)の江油城の守将として登場し、その人物像は生に貪り死を恐れ、怠惰で無能な官員として造形されている。魏将・鄧艾(とうがい)が軍を率いて蜀の境内深くに進入し、東川失陥の報せが伝わったとき、馬邈は備えをしていたものの、その防衛の重心は大路のみにあり、しかも姜維(きょうい)が剣閣(けんかく)関に駐屯する兵力に過度に依存し、軍情を十分に重視していなかった。

小説では、馬邈の怠惰な性格は、彼が妻・李氏とともに炉を囲んで酒を飲む場面を通じて生き生きと描かれている。辺境の危急を尋ねる妻に対し、彼は事もなげに「大事は姜伯約(姜維)が掌握しているのだ、私に何の関わりがあろう?」と言った。この責任を押しつける態度は、彼の不作為を露わにするだけでなく、その最終的な運命をも予示している。さらに、馬邈の蜀漢朝廷への忠誠度は極めて低く、彼は「天子は黄皓(こうこう)を信じ、酒色に溺れている。私の見るところ、禍は遠からず。魏兵が一たび到れば、降るのが上策だ、何を慮ることがあろうか?」と考えていた。この言葉は妻・李氏を完全に激怒させ、李氏はその面に唾し、「男子たる者が、まず不忠不義の心を懐き、いたずらに国家の爵禄を受けている」と叱責した。

鄧艾が率いる魏軍が突然江油城に攻め入ると、馬邈は大いに驚き、ただちに城を出て降伏し、卑屈にも自分は「降る心を懐いて久しい」と表し、城中の住民および本部の人馬を募って一緒に降伏することまで自ら申し出た。鄧艾は彼の降伏を受け入れ、彼を郷導官に任じた。しかし、馬邈が降伏した後、その妻・李氏は不忠不義の夫と並び立つことを潔しとせず、自ら縊れて命を絶つことを選んだ。鄧艾はこのことを知ると、李氏の賢徳を感嘆し、自ら赴いて祭り、彼女を手厚く葬った。演義における馬邈の人物像は、蜀漢後期の腐敗と人心の離散の縮図であり、妻との対比を通じて、忠義と背叛の強烈な対照をいっそう際立たせている。

主要な関係

* 蜀漢:馬邈はかつて蜀漢の江油城の守将であり、国家の爵禄を受けていたが、蜀漢朝廷への忠誠を欠き、最終的に背叛して魏軍に降伏することを選んだ(演義のみ)。
* 曹魏:馬邈は鄧艾が江油に攻め入った後、すばやく曹魏に降伏し、郷導官に任じられた(演義のみ)。
* 姜維:馬邈は江油城の安危を姜維の剣閣関の防衛に託し、「大事は姜伯約が掌握している」と考え、これによって自らの責任を回避した(演義のみ)。
* 李氏(馬邈の妻):李氏は馬邈の生涯における最も重要な関係の一つである。彼女は忠貞不屈であり、夫の背叛行為を深く憎み、最終的に死をもって志を明らかにし、馬邈の生に苟(かりそ)めの偷生と鮮やかな対照をなした(演義のみ)。
* 鄧艾:鄧艾は馬邈の降った主であり、馬邈の降伏を受け入れ、その妻・李氏の忠烈の行いに敬服した(演義のみ)。

象徴的な場面

* 炉を囲んで酒を飲み、怠惰に責任を回避する:馬邈は妻・李氏とともに炉を囲んで酒を飲み、辺境の危急に対して「大事は姜伯約が掌握しているのだ、私に何の関わりがあろう?」、ならびに「魏兵が一たび到れば、降るのが上策だ」という言を口にし、その怠惰と不忠をことごとく示した(演義のみ)。これは彼の性格の特徴が最も集中的に表れたものである。
* 妻に面を唾され、羞じて言葉なし:馬邈が魏に降る意を表すと、その妻・李氏は大いに怒り、その面に唾して不忠不義を叱責し、馬邈はこのため「羞じて言葉がなかった」(演義のみ)。この場面は馬邈の道徳の退廃を深く明らかにするとともに、後の李氏の悲劇的な結末の伏線を張っている。
* 慌てて降伏し、招安を乞う:鄧艾が城下に兵を迫らせると、馬邈は「大いに驚き、慌てて出て降伏し、公堂の下に拝伏し、泣いて告げて言う、『某は降る心を懐いて久しい』」。この場面は、馬邈が強敵を前にした際の懦弱さと生を求めて急ぐ醜態を描いている。
* 夫人が縊死し、鄧艾が祭る:馬邈が降伏した後、その妻・李氏は夫と同流合汚することを潔しとせず、自ら縊れて命を絶った。鄧艾はその報を聞くと、その賢徳に感じ、自ら赴いて祭り、手厚く葬った(演義のみ)。この出来事は李氏の忠烈を際立たせるとともに、間接的に馬邈の無恥をも引き立て、『三国演義』における嘆息を誘う名場面の一つとなっている。

人間関係

0 件の関係

无

名言

全 3 件の台詞 · 厳選 3 件

「大事自有姜伯約掌握,干我甚事?」

演 第117回

馬邈が責任を転嫁し向上心を欠く典型的な姿を示す一節であり、その人物像を集約的に体現している。

「天子聽信黃皓,溺於酒色,吾料禍不遠矣。魏兵一到,降之為上,何必慮哉?」

演 第117回

蜀漢後期の政治腐敗と君主の暗愚という社会的背景を明かす一節であり、その投降の動機をも予示している。

「某有心歸降久矣。今願招城中居民,及本部人馬,盡降將軍。」

演 第117回→ 鄧艾(とうがい)

馬邈の投降という行為を直接に表す一節であり、歴史的事件において彼が演じた役割を示す重要な台詞である。

登場回1 回 ▸
  • 演ch.117
内面の独白 · AI 生成1 段 ▸
  • 私は馬邈(ばばく)、字は詳らかでない。江油城は私の手中にあり、東川がすでに失われたと聞いて、心にまったく波風が立たなかったわけではない。ただ、私は大路を守り、城の防備にもいくらか備えを施していたうえ、姜伯約(きょうはくやく)が全軍を率いて剣