言語
張

張尚

登場回
2
台詞の記録
2
人間関係
2
内面の独白
1

史実(Historical Record)

張尚、字は不詳、呉国の著名な文学家である張紘(ちょうこう)の孫、南郡(なんぐん)太守・尚書の張玄の子である。張尚自身もまた俊才を備え、孫皓(そん こう)の統治期において、その弁舌の鋭さと抜きん出た才能をもって孫皓に賞識され、侍中・中書令に擢用された。

しかし、張尚の才能と忌憚なく直言する性格は、彼に災いを招きもした。孫皓はかつて張尚に琴を弾くよう命じたが、張尚は「素より能はず」を理由に拒んだ。だが孫皓に学ぶよう求められると、ある宴会の席で滔々と琴の精妙さを語った。彼は晋の平公と師曠の故事を引いて、暗に孫皓は徳が薄く清角の音を聴くに足りぬとほのめかし、これが孫皓に不快を生じさせた。

このほか、張尚は孫皓との幾度かの対話においても、その人並み外れた知恵と屈しない品格を示した。たとえば、孫皓が『詩経』の「汎べる彼の栢舟」がただ柏木の舟を指すのみかと問うと、張尚は「詩に『檜の楫、松の舟』と言へば、則ち松も亦た舟に中(あ)たる」と巧みに応じた。孫皓が鳥類の大小を問うと、張尚はまた「大なる者には禿鶖あり、小なる者には鷦鷯あり」を挙げて孫皓の認識を正すことができた。孫皓は性質が疑い深く、他者が自分に勝ることを忌み嫌っており、張尚の談論は毎々その予想を超え、積もる恨みは次第に深まった。最終的に、孫皓は張尚が自らを孔丘になぞらえた言論を理由に、彼を逮捕して獄に下した。

尚書の岑昬が公卿百余人を率いて叩頭して命を請うたため、張尚は死罪を減免され、建安に流されて造船に従わされた。だがほどなくして、彼はなお孫皓の命によって処刑された。張尚の一生は、その卓越した才能と実直な品性を示すとともに、専制君主の統治下では才能溢れる士であっても悲劇的な運命を避けがたいことをも反映している。

演義(In the Novel)

『三国演義』において、張尚の形象は史料の記載とは異なり、呉国の官員ではなく晋軍の将として造形されている。小説第百二十回において、晋の都督杜預(とよ)が兵を率いて江陵(こうりょう)を攻め、呉将の陸景が水路で敵を迎え撃った。陸景が江南の岸で火が起こり、巴山の上に「晋鎮南大将軍杜預」の旗が翻るのを見て、大いに驚き失色し、岸に上がって命を逃れようとした。このとき、晋将の張尚が馬を駆って駆けつけ、陸景を馬下に斬った。

この筋立ては史伝には記載がなく、『三国演義』が戦争の場面を豊かにし、晋軍の勇猛さを際立たせるために行った文学的創作である。小説における張尚は、勇猛で戦に長けた武将であり、その登場は短いながらも肝心な時に呉将を斬り、晋軍の勝利に戦功を立てた。これは史料における張尚が呉国の侍中・中書令として、文才と弁才で知られた形象とは大きく異なる。演義における張尚は、その個人的な運命や性格の特徴もまた、史実に記載される悲劇的な結末とは完全に無関係である。

主要な関係

* 張玄(parent_of):史実では張尚は張玄の子である。張玄は清廉で高い行いがあったが、才は父の張紘に及ばなかった。
* 孫皓(serves):張尚は呉国の孫皓の時代に侍中・中書令を務め、その弁舌の鋭さによって孫皓に賞識された。しかし、その忌憚なき直言と抜きん出た才能ゆえに、最終的に孫皓を怒らせ、獄に下されて処刑された。
* 陸景(enemy_of):『三国演義』において、張尚は晋将として、江陵の戦い(こうりょうのたたかい)で呉将の陸景を斬殺した。これは彼の演義における主要な事績である(演義のみ)。

象徴的な場面

* 孫皓と論じて君主を怒らせる:張尚は孫皓との幾度かの対話において、その人並み外れた才知と忌憚なき直言の性格をもって、しばしば孫皓の見解を論破し、ひいては典故を引いて暗に孫皓の徳の薄さを諷した。これらの言行はその才能を顕したが、それゆえに疑い深く他者が自分に勝ることを忌み嫌う孫皓を怒らせ、最終的に獄に下され処刑される結末を招いた。これは史実における張尚の最も象徴的な場面であり、彼の文人としての気骨と悲劇的運命を示している。
* 江陵で陸景を斬る:『三国演義』において、張尚は晋軍の将として、杜預が江陵を攻める戦役で、馬を駆って逃げようとした呉将の陸景を斬り、晋軍の勝利に力を貢献した(演義のみ)。この場面は張尚の勇猛で戦に長けた武将の形象を造形し、史実における文臣の形象とは鮮明な対照をなしている。

人間関係

2 件の関係

台詞

  • 史 ch.53 §6→ 孫皓(そん こう)

    「素不能。」

  • 史 ch.53 §6→ 孫皓(そん こう)

    「晉平公使師曠作清角,曠言吾君德薄,不足以聽之。」

登場回2 回 ▸
  • 史ch.53
  • 演ch.120
関係の年表2 条 ▸

史 ch.53

演 ch.120

内面の独白 · AI 生成1 段 ▸
  • 私は張尚、字は不詳である。今日、宮中の宴席にいたところ、君主から琴を弾くよう命じられ、「もともと弾けません」と答えるほかなかった。命令が下った以上、学ばねばならない。だが、琴を学ぶのは易しくとも、君主の心を推し量るのは難しい。後に宴席で琴の